004鳥インフルエンザ


フォトギャラリー第264回のコラムに貴重なご指摘をいただいたので掲載します。

投稿者コメント:
 少々誤解があるようだ。
 まず、鳥が罹っているインフルエンザ自体に世界の畜産業を壊滅させる可能性を含んだ恐ろしい種類の物が含まれていて、これが流行することは絶対に避けなければならないという点は理解しておくべ きだろう。

<中略>
 A型インフルエンザウイルスにはH1~H15の15亜型が存在する。
 これらのすべての亜型ウイルスは主にカモなどの水鳥に感染して自然界で維持されている。
 そのほとんどのものは弱毒型と呼ばれるもので,ニワトリなどに感染しても,呼吸器や腸管に限局した局所感染に終始し,感染した鶏は特別な症状を示さない。
 しかし,H5とH7型の中には,ニワトリやシチメンチョウに感染すると,全身感染を起こして 1~2日でトリを殺してしまうウイルスが存在する。
 これが高病原性(強毒性)鳥インフルエンザウイルスである。
 これは養鶏業にとっては壊滅的な伝染病であり,「家畜の法定伝染病」として厳しい検疫や 取り締りがなされる。
 したがって、人の間で感染する種に変化し難いからといって看過することは許されない。
 また、(これは貴殿も触れておられるが) かつて世界中で数千万人を殺したインフルエンザであって も元を正せば弱毒型の鳥インフルエンザウイルスであった。 高病原性鳥インフルエンザを世界中に流行させた挙句にヒト-ヒト感染型インフルエンザに変貌した場合、下手をすると人類が滅亡しかねない。

<中略>
 過去において出現してきた新型インフルエンザは,スペインかぜ,アジアかぜとして大きな惨劇を残したウイルスであってさえ,弱毒型の鳥インフルエンザウイルス(ニワトリの腸管や呼吸器に限局した感染を起こすがトリを殺さない)に由来した新型ウイルスであった。
 これに対して,もしも現在アジア諸国で流行している高病原性鳥インフルエンザ(トリに全身感染を起こし,極めて高い致死率を示す)由来の新型インフルエンザが出現すれば,このような事態は有史以来始めてであろうと考えられ,想像を絶する惨禍が世界中を同時期一斉に巻き込むことが危惧されるのである。
 なお、どうして鳥インフルエンザで処分した鶏を食材として流通させないのか?という点については、 食材として流通させるためには、羽根を毟って内臓を取り除いてくれる加工業者の介在が不可欠である。 鳥インフルエンザで処分した鶏を食材として流通させた場合に、彼ら加工業者が鳥インフルエンザに罹患する可能性があります。

<中略>
 2.鳥インフルエンザウイルスの人への感染について
 鳥インフルエンザは、この病気にかかった鶏と接触して、羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鶏のフンや内臓に触れた手を介して鼻からウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれにかかることがあることが知られています。
 また、今年に入ってから、人が鳥インフルエンザにかかったことが確認された例は、世界的にみてもベトナムとタイであわせて32例 (3月5日現在) ありますが、これまで人から人にうつったことが確認された例はありません。
 日本では、この病気にかかった鶏等が徹底的に処分されており、通常の生活で病気の鳥と接触したり、フンを吸い込むようなことはあまりないことから、鳥インフルエンザに感染する可能性はきわめて低いと考えられます。
 したがって、鳥インフルエンザの疑いで処分された鶏を食材として流通させることはできません。