管理人コメント:
相手を論破するとか言い負かすのが目的ではなく純粋に何らかの答を出したいだけなので一応「激論」を継続しますね。往々にして変人と紙一重の人間が一見無駄な努力の様に思えるひねくれた事を考え出した時に何かが発見されるのかも知れません。
渡り鳥が毎年正確に越冬地に辿りつき繁殖地に戻るのは「記憶」によるものだと言いきれるのかという根本的な命題を提示しましょう。
我々人間の主観では
「親鳥が越冬地を知っているから幼鳥も越冬地について行く。その記憶を代々受け継いで行くから毎年同じ所に同じ冬鳥が集まる。
帰巣本能により自分の生まれ育った場所に戻り繁殖する」
と考えてしまいがちです。
ところがこの方程式では説明のつかない事が現実には起きています。
いつだったか忘れましたが豊岡の
コウノトリ放鳥個体が数羽別々に移動し、なぜか滋賀県の某所に別々に飛来し再集結したことが有りました。レンジャー曰くなぜそんな事が可能だったのか全くの謎との事でした。
またその豊岡には数年前(間違い無く海外から)野生個体が飛来し放鳥個体との繁殖に成功しました。しかもこの個体を含めて1999年以降過去3例も野生個体が飛来しているのです。
なぜ携帯電話やナビシステムなど持たない彼らが長距離を移動しピンポイントでそこに仲間が居ると分かったのでしょうか?いくら視力が優れていても数百km以上も遠方の仲間を見つける事は不可能です(日本の上空はそれほど澄んでいません)。それとも当てずっぽうに飛び回っているうちに偶然見つけたのでしょうか?
ここからは飽くまで僕個人の突拍子も無い珍説ですが、
「彼らは自分の行きたい方向に行きたい距離を飛んだだけ」
という事です。
豊岡でコウノトリが飼育されているのは過去にそこに野生のコウノトリが生息していたからです(飼育個体・放鳥個体はロシア系の子孫ですが)。つまり彼らの多くが「自分の行きたい方向に行きたい距離を飛んだ」結果として誰が決めた訳でもないのに豊岡に居た訳です。そこへ別の野生個体が飛来したのは偶然ではないと考える事は出来ませんか?日本の個体群が絶滅したのは1971年だから、この野生個体はまだ生まれてもいません。つまり誰に聞いた訳でもなく豊岡に飛来したのです。かつて豊岡に飛来した個体群と共通の遺伝子を持っていると考えれば漠然とですが納得出来ます。
放鳥個体の件も同様です。コウノトリ個体群が共通して持って生まれた遺伝子からの指令により示し合わせた様に同じ方向に同じ距離を飛んだ(しかも同じ時季に)と考えれば謎解きのヒントになると思うのです。そうして景色を見下ろしながら飛んでいるうちに「お!この辺はいい所だな・・・」と感じて降りてみたら同じ趣味趣向の仲間が居たという経緯は有り得ない話ではありません。
アホウドリの移住計画の例も述べておきましょう。繁殖地の伊豆大島の鳥島が噴火したら絶滅してしまうと考えた研究チームが350kmも離れた無人島に雛だけ数羽を人為的に運んで人工飼育し放鳥しました。巣立った島に戻って来るという習性を利用して新たな繁殖地を形成させるのが目的で、実際狙い通りに戻って来て繁殖に成功しましたが、ここで僕が注目したいのは繁殖地に戻って来た事ではなくて、その前にアホウドリの越冬地として定着しているベーリング海へ渡っていた事実です。なぜ幼鳥だけで餌の豊富な越冬地が分かったのでしょうか?何故わざわざ冬にアラスカ沖へ向かおうと思ったのでしょうか?単に暖かいところを目指していたならまず有り得ない現象です。これも偶然と片付けてしまっていいのでしょうか?それとも南下の途上でたまたま北上する近縁種の大群と遭遇し何となくついて行ったら何やら餌の豊富な海域に到達したのでしょうか?そういう「偶然」なら充分有り得ると思いますが想像の域を出ません。何とも奇跡的な偶然という感じです。
野鳥たちが渡りを開始する時季については諸説有り解明されていません。餌が減ったり気温が変化したから移動するとは限らないのです。暖冬や冷夏の年でも移動しますから。実際、バードウォッチングをしていると、まだまだ餌が有るのに抜けてしまう事は珍しく有りません。また群れからはぐれた第1回冬羽の個体(渡り初体験)が単独で行動している所を見る事も有ります。渡って来てから親とはぐれたり独り立ちした可能性も有るし、「あの鳥たちについて行けば何となく安心だ」と判断して同種の群れあるいは他種と混群になって一緒に行動しつつ渡って来たというケースが大半でしょうけど。もとより、渡りのほとんどは群れの中の経験者の記憶により決定されているという考えを否定するものではありません。ただそれは誰もが考える普通の答であり、それだけを結論にして皆と同じ様に納得してしまったらこのコーナーが存在する意味が有りませんし、何より上記の疑問に対する解答にはなっていません。
そこで個人的な珍説の続きです。
先祖の「記憶」は遺伝しませんが「この時季になったらこの方向に移動したい」というかなり具体的な欲求は遺伝しないとは限らないと考える事は出来ないでしょうか?少なくとも否定は出来ませんね。人間でも近親者の行動パターンは似ている場合が有ります。また「帰巣本能により自分の生まれ育った場所に戻り繁殖する」のは記憶による行動と思われがちですが、それでは説明のつかない事も明らかとなりつつあります。上記のアホウドリの例の様に渡りは必ずしも「冬は南へ移動し夏は来た道を戻って北へ移動する」という様な単純なものではなく、
キョウジョシギなどの標識調査により春の渡りルートと秋の渡りルートが大きく異なる種が存在する事が明らかとなって来ています(迂回型)。その事は実際にバードウォッチングをしていても感じる事が出来ます(秋には頻繁に観察出来るのに春にはほとんど見られない
ソリハシシギなど)。地図を持たない野鳥たちは異なるルートを辿って何故自分の故郷へ戻る事が出来るのでしょうか?宇宙空間にでも出なければ日本列島全体を俯瞰して見る事は出来ません。この疑問については後述の「星座説」で説明が不可能ではありませんが・・・
先祖の中にたまたまそのルートを飛びたいと思って、それがたまたま最適に近いルートだったお陰で生き残った者が居て、同様の具体的欲求を子孫たちが受け継いでいて同じ様に飛んでいるという図式が考えられます。その欲求を受け継がなかった者は最適ルートから逸れてしまって淘汰され、受け継いだ者は生き残ってその遺伝的習性を補強する。もちろんその他にも様々な要因が複合しているはずですが、こう考えると全て一応の説明はつきます。ただ勿論この考えにも別の疑問は有ります。先述のコウノトリが何故海外へ渡らないのかという疑問です。遺伝的に大陸と豊岡とを往還する性質が有るのであればその様な個体が登場しても良さそうなものです。実は豊岡の放鳥個体と野外巣立ち個体は個々に把握されていてその所在が有る程度追跡調査されています。その中には1年以上行方不明という者が有り、死亡した可能性のほか人知れず大陸方面に渡った可能性も考えられています。仮に大陸で豊岡出身のコウノトリが発見されたらこの仮説の弱点を補完する材料くらいにはなるものと期待しています。但しコウノトリの飛翔能力は高く、既に沖縄で発見されているほどだから大陸に至る者が出て来ても偶然だろうと言われるのは目に見えていますが。なお、個体数の多い種においては様々な方向へ渡った中から最適ルートを選んだ者が生き残るので毎年同じ越冬地に同種の野鳥が飛来する様に見えるのだと言えるかも知れませんが個体数の少ないコウノトリにおいては、そう考えるのには確率的に無理が有ります。
地球という惑星は公転軌道に対して自転軸がいい感じに傾いているせいで、その表面の大気層に無視出来ないほどの季節変化をもたらしています。その惑星で進化した生物は皆大なり小なり季節変化に影響を受け、或る者は順応し利用する事により生き残って来たと言えます。鳥類も例外ではなく「星座の位置を見て渡りのスイッチが入る」とか「星座を見て渡りルート(現在地)を把握している」などという説も有るほどです(かなり有力な様ですが)。
ところで野鳥の渡りは人間社会における通勤と同種の物でしょうか?人間が通勤する動機は我々が一番よく知っていますから今更ここで論じる事はしませんが、野鳥の渡りは謎に満ちており単純に比較出来るものではないでしょう。家畜も驚く様な東京の通勤地獄と比べると大阪のそれは屁みたいなものですが、それはさて置き野鳥が飛ぶ事にそれほど大きな苦痛を感じているとしたら何故渡りをやめないのでしょうか?
ここで鳥が飛ぶ動機について整理してみましょう。
① 季節移動:気候帯が異なるほどの遠方まで移動する手段として最も効率の良い手段として飛ぶ。
② 外敵などからの避難:飛べない外敵から逃れる最終手段として飛ぶ。あるいは最も素早く避難する最適な手段として飛ぶ。
③ 食料を発見し入手する:食欲を満たす効率的な手段として飛ぶ。
④ 障害物を乗り越える:いちいちよじ登ったり泳いだりするよりも手っ取り早い方法として飛ぶ。
⑤ 飛んでいる状態が普段の姿だから動機もクソも無い。
まあこんなところでしょう。②は高等動物に共通する自己保存欲による行動であり我々人間にも容易に理解出来る行動です。特に飛び立つ瞬間は大きな瞬発力が要求されますから②や③④の場合は出来れば飛びたくないでしょう。⑤は
アマツバメの場合です。まあ特異なケースですがこんな鳥が居るくらいですから鳥にとって飛ぶ事はさほど辛い事でもない様に思えます。問題は①ですね。何千何万kmという移動は走ったり泳いだりしていては何日かかるか分かりませんから飛翔という手段は有効であろうと思われます。もし走ったり泳いだりする方が楽なら野鳥たちももっと頻繁にそうしている姿が目撃されるはずです。つまり季節移動する限り野鳥は飛ぶ事をやめないと考えられます。こうして見て来ると短距離を飛ぶ場合と長距離を飛ぶ場合とでは少し事情が違う様に思います。
さて、「野鳥は渡る必要が無くなれば渡らなくなる」という説はどうでしょうか。この思考実験なるものは「人間の思考」に過ぎませんが、人為的にそういう環境を作ればそうなるかも知れません。「鳥は飛ぶのが好きだから飛んでいるのではありません」その通りでしょうね。必要に迫られて飛んでいるんだと思います。ただ、飼い鳥が飛ばなくなる理由は野鳥と比べて圧倒的に飛ぶ機会が少なく筋力も落ち体重も増えてますます飛ぶのが辛くなって飛ばなくなるのだと思います。飛翔に大きな苦痛が伴いなおかつ鳥籠に監禁されている事に何ら苦痛を感じていないのだとしたら「野鳥は渡る必要が無くなれば渡らなくなる」というのも有りでしょう。実際、籠脱けして野生化した外来種はほとんど移動しません(元々季節移動しない種が飼いやすいから飼い鳥として定着したのかも知れませんが)。考えてみれば上記のコウノトリの人工繁殖はこの思考実験の例に似ていますが、これについては後述します。
野鳥が渡りをする動機としては、投稿者も指摘されている通り餌が減って空腹に耐えられなくなり食欲を満たす為、あるいは繁殖地に渡って子孫を残したい為、これらの欲望との釣り合いの中で渡りを決意するに至っていると考えるのが自然です。しかしそれだけでは長距離の移動を説明するのには充分ではありません。単に空腹を満たす為なら漂鳥がそうしている様にもう少し近場でも良さそうなものですし、もっと小刻みに移動した方が負担が少なくて済みそうです。既に番いの相手を見つけているならわざわざ遠方の繁殖地に戻る必要は無いはずです。日本列島から離れる為には海を渡らねばならないとしても、
アオアシシギなどはその日本列島を遥かに通り越し10日間ほどで1万kmも移動すると言われます。もし飛ぶのが嫌いなら尚の事そこまでするのは他に「季節移動欲」とでも言うべき「強い動機」が有るからだと考えねばなりません。渡り鳥が渡りをするのは「それが最適だから」であり、結果的にたまたま最適化した者の生き残りが現在の渡り鳥の姿そのものだという事ではないでしょうか。この疑問に多分正解は有りません。ただこれだけは言えます。「飼い鳥は自らの意志で飼い鳥になった訳ではなく人間が強制しているに過ぎない」という事です。彼らがどう感じているか何も分からないのにも関わらずです。
我々もそろそろ着地点を探しましょう。前述の「具体的な欲求」が遺伝しないという前提で考えて親から子へ代々渡りルートが受け継がれているとして、その伝承がどこかで断たれた場合渡りルートはリセットされてしまうかも知れませんが、沖縄まで飛んだ放鳥コウノトリの行動を見れば分かる通り少なくとも渡りそのものは無くならないでしょう。ほとんどの鳥類には渡り(季節移動)をする性質が備わっており、その自由を奪う事になる鳥籠は飼い鳥に想像以上の苦痛を与えているかも知れないと考えます。
投稿者コメント:
・・・ 長げぇ (゚д゚ )
かつて、『走り屋&ドリフト』 の 『教えて&教えます』 に於いて、長文書きで名を馳せた(笑)このオイラが 「うひゃあ」 と思って凄いぞw
でもまぁ、知らないことばかりで面白かった。
雑学好きとして純粋に礼を言っておこう。ありがとう。
とはいえ、いささか論旨がズレているような気がするので、元の軌道に戻そうか。
もともとの議題は、
「 空を飛ぶ鳥を生存確率数パーセントというグレートハンティングから隔離して保護することは、
―― 自然保護の観点を抜きにして ―― 有りか無しか 」
だったはずだ。
この議題に返れば、話としては至極簡単なんだと思うんだが、いかがだろうか。
「本人が嫌がることを強いるのは良くない」 なんて言い出したら、受験生のMYガキンチョなんか、ゲー ム三昧、深夜アニメ三昧、YoutubeMAD動画三昧で堕落するから不許可。
だいいち、「本人が嫌がることを強いるのは良くない」 なんて言い出したら、誰よりも私が毎日13時間 も拘束される施設事務員を辞めて、引き篭もりの生活を始めますから不許可ですって
( 実を言うと、さすがに毎日毎日通勤と就労に13時間も費やす日々に嫌気が差していて、本気で辞め たくなっているんだがw )。
ガキンチョが嫌いな勉強をすることは、本人の将来の為だし、オイラが楽しくも無い仕事を続けること は家族の生活の為である。
つまり、ガキンチョに於いては、
重要:[ 未来の人生 ] >>> [ 今の勉強から逃げて楽になる ] :重要ではない
であり、オイラの施設勤めに於いては、
重要:[ 家族の生活 ] >>> [ 仕事を辞めてニート生活を満喫 ] :重要ではない
であると言える。
これをそのまま鳥類に当て嵌めた時に、
管理人は、
重要:[ 飼われるストレス ] >>> [ グレートハンティングの連鎖からの開放 ] :重要ではない
になると主張していて
オイラは
重要:[ グレートハンティングの連鎖からの開放 ] >>> [ 飼われるストレス ] :重要ではない
になると反駁している。
これはどちらも成り立つと思う。
<中略>
鳥自身に、飼われる事が、弱肉強食のグレートハンティングの連鎖からの開放であるということを理解できるだけの知能が存在しない以上、当の鳥さんにとっては、人間に飼われる事は、捕食者に捕まったという認識しか持てないだろう。だから、その場合には管理人の主張通りに
重要:[ 飼われるストレス ] >>> [ グレートハンティングの連鎖からの開放 ] :重要ではない
で正鵠を射ていると思う。
だがしかし、 [ 飼われるストレス ] が犬猫並みに小さいのであれば、
重要:[ グレートハンティングの連鎖からの開放 ] >>> [ 飼われるストレス ] :重要ではな い
が成り立つから飼っても良いと言っているわけだ。
さてみなさん。
<中略>
飼い主と一緒に外を散歩するスズメまで実在するみたいで ( ^ω^ )
飼われていても強いストレスを感じることがなくて、人間と良好な関係を保てており、屋外に出てさえ人から逃げないんだから、これ等のスズメたちは、犬や猫と変わらないのではないでしょうか?
まさに、野鳥でも人間に慣れてしまえば
重要:[ グレートハンティングの連鎖からの開放 ] >>> [ 飼われるストレス ] :重要ではない
が成り立つワケで。
要は<中略>拉致みたいなのは不可だけれども、本人 (というか本鳥) が、自ら望んで人間に庇護下に入るのであれば(何を以って“自らの意思”と見做すのか?という疑問は残りますけれども
)それは可なんじゃないでしょうか。
まぁ、飛ぶ鳥を部屋で放し飼いにするのは、糞の始末が大変だろうと懸念しますが。
002につづく